『逆転のイギリス史〜衰退しない国家〜』読了。

ざっと英国史をおさらいしたいなと思っていたところ、本屋さんで偶然目にして、面白そうだと思い手に取ったのがこちら。一冊で分かるシリーズや中公新書の物語シリーズも考えましたが、ユニオンジャックの表紙と”衰退しない国家”という勇ましいキャッチコピーが購入の決め手となりました。

読了後の感想をつらつら書いていこうと思います。

もくじ

第一章 辺境の島国

第二章 自立への道

第三章 台頭の時代

第四章 例外的な経済システム

第五章 経済成長の虚と実

第六章 アメリカのヘゲモニー下のイギリス

前半はローマ帝国の辺境であったブリテン島の時代からヴィクトリア女王の時代までの歴史、後半は経済に軸をおき大英帝国の繁栄の歴史が描かれている。

現在のイギリス(UK)は四つの国で構成されていて、皆さんがパッと想像するイギリスはイングランド。西にウェールズがあって、北がスコッチウィスキーのスコットランド。アイルランド島の北部分が北アイルランドで南はアイルランド共和国。

世界史や地理でやる範囲だけど、イングランドはローマ帝国の支配下に置かれたり、ノルマンコンクェストだったり結構異民族によって侵攻された歴史がある。他の三国はケルト系の民族が主な構成となっている。グレートブリテン島はそんな感じで大英帝国の華やかさなど想像もつかないような辺境の島国だった。

どのようないきさつで日の沈まぬ国と呼ばれるようになったのか?

中世〜近世の欧州の貿易構造に焦点を当て、かつてのヘゲモニーであったオランダから独占を奪い独自の貿易を築いていく過程が趣旨になっているので、文化や社会知りたい人にはちょっと単調で物足りないかもしれない。

2020年2月1日のイギリスEU離脱など、色々なきっかけがあってイギリスの歴史に興味があったが、文化への関心が一番大きかった。その入り口は幕末をテーマに観光をしていた時に目にしたアンティーク家具だった。「そういえば祖父母の家にこんな家具があったよなぁ」と思いながら、改めて眺めると美しい木目や重厚かつ華やかなデザインにとても魅力を感じた。

アメリカ大陸原産のマホガニー、ウォルナットは大航海時代にヨーロッパにもたらされたものだったり、シノワズリという中国文化をモチーフにした様式はイギリスやオランダの東インド会社がヨーロッパに持ち込んだことが始まりだ。この時代の特徴は経済、貿易の発展が世界各地の文化を広めたことである。読み進めていく上で文化への関心が深まるエピソードもところどころ描かれている。

イギリス国外の情勢に触れられたり、読み進めていくと何を軸にしているのかわからなくなってしまうこともある。しかし読み終えた時には、EUという枠組みを離れたこの国が何を武器にして今後を生き残っていくのかがうっすらと見えてくる。